僕らは今、先週までと全く違う世界に生きている
先週末のポンぺオ国務長官の演説を、休暇中に原文で読みました。
報道されている通り、これは歴史の転換点となる演説であり、ニクソン以降の共産中国との関係を全否定し、共産中国を敵国として力によって封じ込め、中国国民を中共の圧政から開放しようとするものです。
手短に言えば、米中冷戦開始の号砲が鳴ったということ。
冷戦と言えば、かつては米ソ冷戦のこと。ポンぺオ国務長官は先週のスピーチで、当時のソ連と対比して中国の脅威を表現しています。
President Reagan said that he dealt with the Soviet Union on the basis of “trust but verify.” When it comes to the CCP, I say we must distrust and verify.
レーガン大統領はソ連を「信頼せよ、だが一方で確認、検証して対処せよ」といった、しかし共産中国に対してなら、私は「信頼するな、そして確認・検証せよ」と言う。
The USSR was closed off from the free world. Communist China is already within our borders.
ソ連は自由主義世界から閉ざされていたが、共産中国は既に我々の国境内に潜入しているのだ。(スパイとして潜入しているというより、中国は我々の経済圏に組み込まれてしまっているという意味)
これ以外でもポンぺオ国務長官は異例とも言えるほど、言葉を極めて中共(CCP: Chinese Communist Party)非難しています。
The free world must triumph over this new tyranny.
自由世界はこの新たな暴君(中共独裁体制、習近平体制)に勝利せねばならない。
President Nixon once said he feared he had created a “Frankenstein” by opening the world to the CCP, and here we are.
かつてニクソン大統領は、世界の門戸を中国に開いたことは、フランケンシュタインを創ってしまったのかもしれないと恐れている、と言った。まさにそのとおりになった。
ポンぺオさんがここまで名指しで中国を罵るというのは、ちょっと驚きではあります。トランプさんが夜中にツイッターで暴言を吐くのとは訳が違い、周到に準備されたアメリカ国民と世界へのメッセージだからです。
今、世界は新型コロナに振り回され、対策に躍起となっています。しかし、遅くとも2〜3年もすれば、ワクチンや治療法も出来て、この感染症は確実に克服されます。
しかし中国はそんな短時間で、アメリカに飼い慣らされることはありません。益々自由主義陣営への脅威として存在を増し、対するアメリカをリーダーとする自由主義の国々は、それを封じ込め、倒し、究極的に圧政の下にある中国人民、周辺国の人々を開放しようというのです。
これが米中冷戦でなくて何でしょう。
我々投資家は今週からいきなり先週までとは全く違う世界に放り出されたのではないでしょうか。
これまでは、中国をはじめとして世界中の新興国をも巻き込み、1つの経済圏で世界経済が繁栄を続ける。その中心がアメリカ。S&P500に投資していれば将来安泰。
それが、世界がアメリカ陣営と中国陣営に分断され、それぞれに独立した経済圏を形成しかねないという瀬戸際まで一気に来てしまったようです。
これは民主党になったら変わるようなものでしょうか?
これからの投資について再考が必要になるかもしれません。今しばらくは事態の推移を見守ることにします。