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悪用される『富裕層』という言葉

「富裕層」には公的な定義はないそうです。日本では野村総研の定義が一般的に用いられることが多く、それによると日本の富裕層は純金融資産保有額1億円以上、約120万世帯。

全世帯数のほぼ2%になるのだそうです。50世帯のうち1世帯は富裕層、小中学校の1クラス(40人強?)に1人くらいは富裕層の家の子がいると思うと、意外に多い気もしますね。


純金融資産1億円以上ではなくとも、富裕層と遜色無いお金持ちも居るでしょう。優良不動産を多く所有して安定的賃貸収入があったり、借金は多くても資産家で裕福な暮らしをしていたり、資産を法人化していたりという例もあるかもしれません。でもだからといって、いくら何でも富裕層が1割とか2割とかにはならないでしょう。せいぜい多く見積もっても5%未満がいいところだと思います。

先日政府は金融庁のNISA恒久化の要望を退けました。以前に上掲の投稿で書かせていたとおり、一般国民に使いづらいNISAは廃止したほうが良いという意見なので、これに替わる良い制度が出来るなら構わないのですが、政府のNISA恒久化見送り理由が「富裕層優遇」だからというのは悪質な嘘であり許せません。


現在NISA口座は1千万口強。世帯数ではありませんが、仮に夫婦1世帯2口座としても500万世帯。富裕層の120万世帯の4倍以上。むしろ富裕層以下の多くの一般国民がNISA を利用しているのです。

そもそもNISAも、つみたてNISAも、利用に資産や所得の制限はないので、富裕層、お金持ちも貧乏な人も同様に利用可能で皆平等です。

それに年間投資額120万円以下のどこが「富裕層優遇」というのでしょうか。むしろ財務省の陰謀により重税を課せられている庶民にとっての、ささやかな投資による資産形成の後押しです。富裕層なら特定口座で遥かに多額の資産運用しています。彼らにすればNISAの優遇など取るに足りません。


富裕層という語句は一般庶民の嫉妬や羨望の感情を非常に刺激する言葉なので、質の悪い政治家や財務省の役人が悪用して、世論を自分たちの都合の良い方向に誘導し、結果的に大多数の国民の利益が失われるということが、これからも多々発生すると思います。安易な富裕層という言葉の悪用に我々投資家はくれぐれも注意してゆかねばなりません。