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【クレディ・スイス】AT1債ショック


欧米の金融混乱は小康を保っています。完全収束とまでは言えないかもしれませんが、主要国の金融当局と主要金融機関が足並みを揃え、金融危機の阻止に邁進しています。


過去の失敗からしっかり学んで、危機は回避可能と考えたいものですが、すこし個人的に引っ掛かったのが、AT1債の扱い。


一般的なお話として、企業が資金調達をする際に、自己資金、株式という自己資本があります。大半の企業はそれでは足りないので、お金を借りたり、社債を発行して資金調達します。これは他人資本。


企業が経営危機に陥ったとき、優先されるのは社債を含む借りたお金の返済。人様からお借りしているのだから当然です。


反対に犠牲になるのが自己資金、株式などの自己資本。株式が大きなリスクを負っている所以です。




そして上記の自己資本と他人資本の中間的な性質を持つのが、メザニンローンと呼ばれたりする、株式と借金の中間的性質を持つもので、劣後債や優先株などがそれに当たります。


今回問題になっているAT1債は、それに当たるようですが、世界の銀行の健全性を担保する「バーゼル3」という基準では、AT1債は限りなく株式に近いTier1という資本のカテゴリーになっているようなのです。


とは言っても、株式ではなく債券なので弁済順位は株式より高く、優遇があってしかるべき。なのに、株式はUBSの買収で幾分価値は保持され、AT1債は紙くず、つまりUBSは払い戻ししませんよ、と言っているわけです。


常識で考えれば、そんな馬鹿な!債権者を舐めるな!訴えてやる!


私がクレディ・スイスのAT1債保持者なら激怒して訴訟に持ち込むでしょう。




実際、報道によれば訴訟が計画されているようです。目敏い弁護士がこれを見逃すはずがない。


さらにAT1債は世界の金融機関が発行しているので、これが株式以上にリスキーとなると、AT1債の買い手は干上がってしまって、資本収縮が起こり金融危機の火種になりかねません。


AT1債ショックになるのか、回避されるのか。なぜAT1債は株式より優先順位が低いのか、動向を注目したいと思います。