米国債格付け下げが必ずしも米国債売りになるわけではない
タイトルの件、目から鱗というか重要なことなので、シェアさせていただきたいと思います。
先日、米国債の格付けが、大手格付け会社フィッチによって、最高のAAAから一段階引き下げられました。
格付けが落ちたということは、それだけ信用度が下がったということなので、米国債は売られ、したがって利回りは上昇する。
普通に考えればそうなのですが、実態は逆と考えられる。実際、十年ほど前に別の格付け会社が米国債を格下げしたときは、その後ずっと米国債価格は上昇した(=利回り下落)ということです。
今回も格付け引き下げから1週間ほどですが、顕著な利回り上昇は無いです。
この一般的には不思議な現象を、金融アナリストの岡崎さんが上手く説明しておられました。
国際債券市場というのは、いわばプロの世界であって、売買は主に機関投資家によって行われるということが前提。
機関投資家はそれぞれリスク管理していて、たとえば自社の債券ポートフォリオの平均格付けはAAとかA、というルールがある。
今回米国債が格下げとなったので、そのままだとポートフォリオの平均格付けは少し下がってしまう。もしそれが自社の規定以下であれば債券の売買で上げなければならない。
米国債より格付けの高い債券は無いから、自社の平均より格付けの低い債券を売却して、米国債をはじめとする高格付けの債券を購入し、ポートフォリオを再構築するということ。
納得ですね。一部ヘッジファンドはともかく、債券を運用する大規模投資家は保守的でリスク管理にシビアですから、こういうことになります。
ならば米国株式市場への影響はどうかといえば、目安となる長期国債の利回りがむしろ下降するなら、米国株への影響はポジティブということ。
だからといって即株価上昇とはなりません。株価を決める要素は多く複雑で予見不可。
投資は自己責任です。