長期投資家の避けられない試練
短くとも10年以上、20年、30年、それ以上の期間、資産を積み上げていく長期投資家にとって、恐らく高い確率で襲ってくる脅威といえば株価の大幅な下落です。
これらへの備えを、実質的にも心理的にもあらかじめ準備しておくことが、長期投資を継続し資産を拡大させるためには重要です。
直近で考えると、投資歴12〜3年以上の方はリーマンショックの洗礼を受けていますし、投資歴20年以上なら、ITバブル崩壊にも見舞われています。
たとえば、リーマンショックのあった2008年のS&P500の年間リターンは約-37%以上にも達しました。
(リーマンショックの経験、私の場合)
以前にも書いたことがありますが、比較的、平静にリーマンショックをやり過ごせたと思います。その理由を自分なりに分析してみると:
1.積立資産(確定拠出年金のみ)が数百万円と少額であった。当時はローンを抱え、貯金は少ないものの、定年まで収入が右肩上がりで、退職金も十分に貰えると信じ込んでいた。
2.40台前半と若く、60歳の積立期間終了まで時間は十分にあり、それまでに状況が好転するチャンスは十分あると思っていた。
3.大半を先進国株で運用していたが、先進国、特に当時は前途洋々と思われていたEUとアメリカ経済の長期的成長力に、自身のビジネスを通じて確信を持っていた。
以上の3点であったと思います。
今思えば、ラッキーで恵まれた環境にあったかもしれませんが、長期投資をこれから続ける上で良い経験になったと思います。
(これまでの経験を活かし、これから老後に向けての長期運用で留意する点)
1.将来的には万が一の暴落は必ず来るので、その際は一時的にせよ、一瞬にして数千万円の評価損は避けられない、との覚悟を常に持っておく。
2.仮に運用資産が半分になっても狼狽売り、運用終了しなくてよいだけの、一定の生活資金は別途確保しておく。
3.株価下落のチャンスを活かせるように、フルインベストメントではなく、追加投資のための余資を確保しておく。
4.将来性に疑義のある日本株などへの投資はしない。
といったところでしょうか。誰しもそうですが、年を取るごとに資産運用額が増大するにつれ、暴落時の影響やショックは大きくなります。
しかもそのショックからリカバーする時間はどんどん短くなるのです。
我々の多くは、豊かで幸せなリタイア生活のため長期投資をしていると思います。
この長い期間の間に襲ってくる暴落という悪魔に、十分打ち勝てるよう周到に準備しておきたいと思っています。