カッコイイ投資
引退してしまうと、会社のブランドも肩書も失って、ただの爺さんになってしまう。
そんなのは絶対に嫌だ。
若い頃はそう考えて、自分で会社を興そうとか、小さな会社を買って経営しようとか、不動産投資に乗り出そう、とか漠然と思っていた。
しかしそれも中年になる頃は、引退後にそんな、しんどい、面倒な事はやりたくないと思い始めた。
ならば、引退後どうやって楽して自分の存在感?を保てるのか。
その答えが「カッコイイ投資家」。
イメージとしては、大手優良企業の株を持って、その配当でリッチな生活をするという、バブリー世代特有の発想。
それに年金を加えて潤沢な配当収入で高級旅館を泊まり歩き、グルメ、海外旅行を楽しむという、お決まりの下衆な目標。
周りにも自慢出来て、ドヤれる。老後の侘しさと無縁だろうと。
それにプラスして、損しても良いから、ベンチャー企業に少し出資して、時代の先端と関わっていれたら、さらに箔がつく。
そして月日は経過し、完全引退まであと数年となった今。少しだけ知識もついて、大人になって思うのは、
・個別株の配当でリッチな生活はハードルが高い、高度な知識とスキルを要す。ほったらかしで儲かるわけではない。そもそもそのためには莫大な種銭が必要。
・外出も、外食も面倒になってきた。むしろ家でゆっくりしたい。地元や家庭菜園、果樹園で採れた素朴なものが食べたい。子供のころ食べた懐かしいものをまた食べたいと思うようになってきた。海外旅行も時差がきついところには行きたくない。せいぜい近場のあったかい所で十分。
・物欲も無くなった。これまで貯めた高級食器、骨董、絵、(いずれもたいしたものではないです)も売ったり、あげたり。地震で壊れたり、傷んだりすることを経験し、空しくなった。
・仕事のつながりで幾つか有望なベンチャーを知っているが、そこにインパクトのある資金を出資するほどの金に余裕は無いのではないか。
・そもそも人間関係が煩わしい。引退してまでマウント合戦は御免だ。人とはあまり関わらず自然に囲まれ静かに暮らしたい。
これらが今の正直な気持ち。
いまのままで十分。静かに穏やかに元気で生きたいと思う。過剰な欲も自己顕示欲も失せた。
諦念と言えばそうかもしれない。老化、劣化ということもあるでしょう。
そんな今の私にピッタリなのが「カッコ悪い投資」?の海外株式インデックス投資信託の長期積立。
誰でも出来る。知識もスキルも不要。パソコン下手でも、ボケはじめでも何とか出来る。
大儲けは望めない。配当も無い。けれど大損リスクも少ない。
これからも身の丈に合った投資を続けよう。