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もう一つの悪夢

新型コロナウイルスの世界的流行が、実体経済を蝕みはじめました。観光、エンターテイメント、外食、物流、交通、エネルギー等、直接の影響をモロに受ける業種の悲鳴が伝えられ、株価も下落しています。



ただこれら実体経済の停滞は、今回の流行が比較的早く収束しさえすれば、速やかに回復します。中国では湖北省以外は生活が正常化しつつあり、会社は業務を開始し、店舗も通常通り営業するところが日を追って増えていると伝えられています。先週の上海株も堅調でしたね。



日本はともかく、少なくともアメリカにおいても、今回の新型コロナウイルス騒ぎの直前までは、実体経済、株価共に絶好調であり、さらにトランプ大統領は今年11月の大統領選挙での勝利のため、なりふり構わず景気対策、株価対策を打ち出すでしょうから、今年の後半にはまた、S&P500は過去最高を更新しているかもしれません。




こうなってくれれば、笑顔で2021年のお正月を目出度く迎えられます。





でも万一、流行が予想外に長引き、実体経済の悪化が体力と信用力に劣る企業の財務的健全性を毀損し、債務不履行が連鎖的に発生するとしたら?



世界はリセッションもしくはリーマンショック並みの大不況に突入するかもしれません。新型コロナウイルスのパンデミックの悪夢が現実となり、さらに「もう一つの悪夢」を実現してしまうでしょう。



昨年11月の拙ブログに書かせていただきましたが、IMFレポートによると世界の企業はトータル19兆ドルにも及ぶ債務を抱えており、「もし10年前(リーマンショック)の半分ほどの景気後退があれば、主要国(米国、中国、日本、ドイツ、英国、フランス、イタリア、スペイン)の企業債務のほぼ40%が返済不能になる」ということのようです。


特に懸念となるのはレバレッジドローンとそれを証券化したCLO(Collateralized Loan Obligation)です。

レバレッジドローン:レバレッジドローンはシンジケートローンの中でも借り手(資金調達側)の信用格付けがBB以下、債券発行時の金利がLIBORよりも150ベーシスポイント以上高いローンを指す。これだけをみるとハイイールド債(ジャンク債)に近いが「デフォルト時の弁済順位が高い」「有担保」「変動金利」「財務制限条項が厳格」といった点が異なる。


因みに、レバレッジドローンの残高は約100兆円あり、日本のメガバンク、ゆう〇〇銀行、農〇中〇金庫はこれを証券化したCLO を大量に購入しています。これを問題視した金融庁、日銀はこれまでもたびたび調査を実施し、監視を続けています。



CLOはレバレッジドローンを証券化し、安全度ごとに分けて、機関投資家などに売りさばくもの。残高は60兆円を超え、一説によればその半分以上を日本の金融機関が保有しているそうです。



日本の金融機関が保有しているCLOはトリプルAに格付けされている(注、といっても真のトリプルAではなく、BB格付け債務の中ではという意味)比較的健全なものであり、安全性は高いと一様に説明されていますが、格付けなどいくらでも変動します。



ただでさえ、格付けの低いレバレッジドローンの寄せ集めに過ぎないCLOです。新型コロナウイルス不況で債務不履行が頻発したらどうなるか?今は誰でも知ってますね。



10年前のリーマンショックで有名になったCDO(債務担保証券。ほぼジャンクであった住宅ローン担保証券の束を担保にして、証券化したもの)はCLOと基本は同じです。CDOが紙屑になったと同様にCLOもそうなれば、今回はリーマンショックではなく、農〇中〇金庫ショックになるかもしれない!ということです。そうなれば世界中が信用不安に陥り、信用収縮が蔓延する金融不安から世界不況が訪れます。


この万一の「もう一つの悪夢」が現実にならないように祈るとともに、個人投資家はそうなっても心の平穏を保ち、日常生活に支障の無きよう準備するしかありません。