後ろを振り向かないで進む
物議を醸したオリンピックが終わりました。やったもの勝ちの世の中です。
アスリートの皆さんに罪はありません。人生かかってますから。
強いものが勝つ過酷な世界はオリンピックも娑婆も変わりません。
昔は日本にも社会にも余裕があって、何とか丸く収めていたことも多かったような。
今は何かギスギスしていて、弱肉強食のグロテスクな世の中になったと感じるのは昔人の僻みか。
後ろばかり振り向いても仕方ない。過去は変えられない。嫌な過去は忘れ、楽しい過去だけ心に仕舞っておこう。
57年前の東京オリンピックでマラソンの円谷は最後に後方を振り返り、追ってきたヒートリーにゴール直前抜かれて、銅メダルに。
絶対に振り返るなと言われたのを守れなかったからなのか?
違うでしょう。もっと早く振り返って確認しておけば対処出来た可能性はあったかもしれない。少なくともゴール直前で慌てなくても良かったはず。
世界最古のオペラ、モンテヴェルディの「オルフェオ」。ギリシャ神話をモチーフにした傑作です。
オルフェオは新妻エウリディーチェを毒蛇に噛まれ失います。諦めきれず三途の川を渡り、あの世の王様に直談判。
エウリディーチェを取り戻し、連れ帰る途中「エウリディーチェがついて来ているか、確認するために後ろを振り向くな」という警告を守らず、永遠にエウリディーチェを失うというお話。
ギリシャ神話にも三途の川があったというのも驚きながら、あの世の王様はオルフェオが必ず振り返ると知っていた、つまりエウリディーチェを地上に返す気は最初から無かったんだと思う(個人の感想です)。
オルフェオがもう少し賢ければ、巧みに交渉して確実に取り戻せたはずなのに。
円谷もオルフェオも結果だけをみれば、後ろを振り向いたことで負けたわけですが、なら振り向かなければ勝ったかといえば、誰にも断言できません。
現実の投資でも過去の実績が、未来のパフォーマンスを約束するわけではありません。
でも過去は現在を通して未来に繋がってはいる。
人生も投資も難しい、答えの無い旅路なのか。