毎日積み立て生活

eMAXIS Slim 米国株式 S&P500の毎日積み立て始めました。since July 2019

米国ドミニオンエナジーガスパイプラインアセットのバークシャーハザウェーへの売却が示唆する不吉な未来

随分と昔になりますが、海外エネルギー関係の仕事をしていたことがあるので、その関連のニュースにはつい目が留まります。




アメリカ有数のエネルギー企業ドミニオンエナジーは:

“selling substantially all of its gas pipeline and storage assets to Berkshire Hathaway Inc. for $4 billion”
“Dominion and its partner Duke Energy Corp. said they’re killing the controversial Atlantic Coast gas pipeline along the U.S. East Coast, citing ongoing delays and “cost uncertainty.”

「ガスパイプラインの主要アセットをバークシャーに売却し、さらに大西洋岸ガスパイプラインプロジェクト中止。」



アメリカの電力供給は、かつては安価で豊富な石炭発電が約半分を担っていました。それが地球温暖化と二酸化炭素排出削減の大合唱の影響で、二酸化炭素排出量が少なく、その他有害物質の排出も僅少なガス発電が伸び、最近では4割ほどを占めるようになっています。



特にトランプ政権以降はガス発電に不可欠なパイプライン事業は黄金期を迎え、我が世の春を謳歌していると勝手に思い込んでいました。



どうも実態は違ったようです。

“The moves come as utilities face increasing pressure from local governments, investors and environmentalists to quit fossil fuels. While long heralded as a cleaner alternative to coal and heating oil, gas is drawing stiff oppositions from left-leaning state lawmakers, making it increasingly difficult to build pipelines and other infrastructure.”

トランプ共和党政権においてさえ、ガスを含む化石燃料は州政府、投資家、環境運動家から逆風を受け、左翼系(民主党左派)議員からの強い反対を受けているというのです。



なるほどアメリカ。



日本と異なり連邦ではなく州が独自の権限を持つ領域が大きいため、いくらトランプさんが反対しても、実際の事業環境は厳しかったということなのでしょう。

“Virginia enacted a law in April requiring Dominion’s utility in the state to be carbon-free by 2045.”

「(ドミニオンが本拠を構える)ヴァージニア州は2045年までに同社にカーボンフリーを課す法律を施行した。」



ヴァージニア州にそんな権限有るの?と驚きます。共産主義州じゃあるまいに、私企業の経済活動をそこまで規制するのでしょうか。


そんなことしていたら電力会社もガス会社も皆出ていきます。自然エネルギーだけで全て需要が賄えると本気で思っているのでしょうか。まさか原発(原発はCO2を排出しません)を建てようというのでもないでしょう。



トランプ政権下でさえこれです。万一、バイデン大統領にでもなった日には、全米で石炭火力発電、ガス火力発電が危機的状況に陥ります。これら2つでアメリカの発電量の6割以上を占めているのです。



自然エネルギーは自然に依存します。


風力発電風任せ。


太陽光発電お天道様次第。


女心となんとやら。


人間社会の発電ニーズに都合よく応えてはくれません。充電すれば良い?どれだけコストがかかると思っているのですか?大容量では無理。結局、発電量を安定させるため、火力発電をバッファーとして持っていなくてはなりません。イコール稼働率の低い資産を抱えるということです。



電力会社の経営云々ということではなく、アメリカ社会が電力需要を満たすためだけに多大なコストを支払わねばならないということ。その分経済成長、(多分株価も)大きく足を引っ張られるということです。



地球環境が大事でないとは言っていませんが、経済を犠牲にするのも限度があります。性急な環境対策は人を不幸にしかねません。



さすがに日本はそこまで行く手前で止まっています。旧式の石炭火力は順次休止が決まったようですが、ガス火力を止めろということにはなってないですから。






それにしても、その問題ガスパイプラインを買ったバフェットさんの意図が見えません。将来性が無いと見限ってエアライン株やをGS株を売り払った人が、それ以上に存続の疑義ありのアセットご購入とは。



余程お買い得価格だったのか、それとも何か我々の知らない事実があるのか。



ドミニオンエナジーは上手く売り抜け、財務リストラに成功。余ったお金で自社株買いまでするようで、まずは目出度しといったところのようです。



バークシャーハザウェーは今回の1兆円規模の大型買収でどうなるやら?



でもS&P500インデックス投資している限り関係無いですね。どちらもS&P500企業であり、2社の明暗?は自動的にリバランスされるので。